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「明日から、もうあの場所に行かなくていいんだ」
退職届が受理され、最終出社日を終えた日の帰り道。私の心を満たしていたのは、言葉にできないほどの大きな「解放感」でした。毎朝の通勤、鳴り止まないチャットの通知、常に何かに追われているような張り詰めた空気。それらすべてから、ついに解放されたのだと。
しかし、その解放感は長くは続きませんでした。
退職して3日目、4日目と日が経つにつれて、部屋の静けさが急に重たく感じられるようになったのです。SNSを開けば、同世代の人たちがキャリアの階段を上っている姿が目に入る。平日の昼間、スーツを着た人たちとすれ違うたびに、自分が社会のレールから外れてしまったような、言いようのない焦燥感に襲われました。
この記事では、うつ病が原因で会社を辞め、これからの人生に迷っていた時期の私のリアルな体験談を綴ります。綺麗にまとまった成功譚ではありません。ただ、今同じように「辞めてハッピーなはずなのに、なぜかしんどい」「これからどうしよう」と毛布の中で震えているあなたの心が、少しでも軽くなるきっかけになれば嬉しいです。
会社を辞めて気づいた、心と身体の「本当の限界」
うつ病の診断書をもらい、休職を経て退職を選んだとき、私は自分が思っている以上にボロボロでした。 最初の数日は、とにかく寝ました。泥のように眠るとはまさにこのことで、1日12時間以上ベッドから起き上がれない日もありました。
「会社を辞めたんだから、これからは元気になっていくはず」
そう思っていたのですが、人間の心はそんなに単純ではありませんでした。緊張の糸がプツリと切れた途端、それまでアドレナリンで誤魔化していた疲労や、抑え込んでいた感情が一気に噴き出してきたのです。
- 朝、意味もなく涙が出る
- スマホの通知音が鳴るだけで心臓がバクバクする
- 次の転職活動のことを考えると、息が浅くなる
「本当にこれでよかったのだろうか」「私の忍耐が足りなかっただけじゃないか」 そんな自己嫌悪のループが頭の中でぐるぐると回り続けました。退職したことで物理的なストレス源は消えたのに、今度は「無職である自分」という新しいストレスが、静かに私を蝕んでいきました。
平日の昼間に感じた「世間から取り残される恐怖」
特にしんどかったのは、平日の昼間に買い出しに出かけるときでした。 近所のスーパーで、カゴを片手に歩いていると、すれ違う人みんなが私を「平日の昼間から何をしている人なんだろう」という目で見ているような錯覚に陥るのです。
もちろん、周囲の人は私のことなんて気にしていません。ただのお買い物客の一人です。分かってはいるけれど、自分の心が弱っているときは、世界のすべてが敵のように見えてしまうことがありました。
かつては「自由な時間ができたら、あれもしたい、これもしたい」と考えていたはずなのに、いざその時間が手に入ると、何をすればいいのか分からない。本を読もうとしても文字が頭に入ってこないし、映画を観ても感情が動かない。
この「何もできない自分」を受け入れるのが、何よりも苦しかったのを覚えています。
暗闇の底で、私の呼吸を少しだけラクにしてくれたもの
そんな先の見えない毎日のなかで、私はある一つの変化に気づきました。 会社員時代、毎朝目を覚ますために、そして仕事中の眠気を吹き飛ばすために、私は1日に何杯も濃いコーヒーをがぶ飲みしていました。カフェインと栄養ドリンクで無理やり脳を覚醒させ、限界を超えて働いていたのです。
しかし、退職してからはその強い刺激が、かえって傷ついたメンタルを刺激して不安感を煽っているような気がしてきました。動悸が激しくなったり、夜にますます眠れなくなったり。
そこで、まずは形からだけでも「自分を労る時間」を作ろうと思い、これまでの飲み物を見直してみることにしました。
色々と試すなかで、私がふと手に取ったのが、優しく香るハーブティーやノンカフェインのルイボスティーでした。それまでは「味が薄くて物足りない」と思っていたものが、疲れ切った身体にしみわたるように優しく感じられたのです。
特に、夜ベッドに入る前に温かいカモミールティーを淹れる時間は、いつの間にか私の小さな救いになっていきました。
正直に言うと、お茶を飲んだからといって、うつ病が劇的に治るわけではありません。次の仕事が決まるわけでも、将来の不安が消えるわけでもありません。
ただ、マグカップから立ち上る湯気を眺め、ゆっくりと深呼吸をしながら温かい液体を飲み込んでいるその数分間だけは、頭の中の「焦り」が少しだけ静かになるのを感じました。 「あぁ、私は今、自分のために時間を使っているんだな」と思えたのです。
これまでは会社のため、誰かのために自分の時間をすり減らしてきました。でも、このお茶を淹れる時間は、100%自分のためだけの時間。そう思えるようになってから、少しずつですが、平日の昼間に起きる罪悪感も薄れていきました。
キャリアの空白期間は「人生の調律期間」
もし今、あなたもうつ病やメンタルの不調で退職し、これからの人生に絶望しているとしたら、どうか自分を責めないでください。
世間は「キャリアの空白期間(ブランク)」をネガティブに捉えがちですが、私はこの期間を「人生の調律期間」だと考えています。狂ってしまった楽器の音を直すように、すり減ってしまった心と身体のバランスを、本来の自分のテンポに戻していくための大切な時間です。
焦ってすぐに転職活動を始めても、心が回復していないと、また同じような環境で同じように傷ついてしまう可能性があります。それは、まだ骨折が治っていないのに無理して走り出すようなものです。
まずは、徹底的に休むこと。 そして、自分が「心地よい」と感じる小さな選択を積み重ねていくこと。 朝、好きな時間に起きる。お気に入りのマグカップで温かい飲み物を飲む。気が向いたら少しだけ散歩をする。
そんな些細なことでいいのです。社会の物差しではなく、自分の物差しで心地よさを測れるようになったとき、自然と「次の一歩」を踏み出すエネルギーが湧いてきます。
結び:綺麗な終わりじゃなくていい。今日も息をしているだけで、私たちは素晴らしい
私の転職活動や、これからの人生がこれからどうなっていくのか、明確な答えはまだありません。 相変わらず不安になる夜もあるし、元気に働いている人の姿を見てチクリと胸が痛むこともあります。
でも、会社を辞めたあの日の空の青さや、夜に飲むハーブティーの温かさを知った今の私は、以前よりも少しだけ、自分のことを大切にできている気がします。
人生は、一直線のきれいなレールの上だけにあるわけではありません。 時には立ち止まり、回り道をし、草むらに寝転んで空を見上げる時間があってもいいはずです。
今、これを読んでいるあなたが、もし苦しみのなかにいるなら。 まずは今日、温かいものを一杯飲んで、ゆっくり目を閉じてみてください。 劇的な変化はなくても、あなたの明日が、ほんの少しだけ優しいものでありますように。
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